a) 糖鎖の生合成 [1]
糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカンに結合する糖鎖は、糖転移酵素(グルコシルトランスフェラーゼ)と呼ばれる酵素によって合成されます。
糖転移酵素は活性ヌクレオチド糖供与体から特定の受容体分子まで糖残基を転移させています(Breton et al. (2006))。
また、糖転移酵素は、供与体基質や受容体基質、結合様式によって種類がわかれており、個体発生の時期や組織によって異なる転移酵素が発現していることもあります。
これらを全て合わせると 200 種類以上の糖転移酵素が存在すると考えられています。
糖残基の転移はアノマー炭素の立体構造の保持、または反転と共に起こります(McNaught and Wilkinson (1997))。
これらの酵素は原核生物でも真核生物でも見られますが、受容体基質でもグリコシル供与体でも高い特異性を持っています。
糖鎖付加(グリコシレーション)はグリコシド結合で修飾されますが、典型的にタンパク質や脂質に付加する糖鎖のさまざまなタイプを産生します。
タンパク質の糖鎖糖鎖修には N 型糖鎖、O 型糖鎖、グリコサミノグリカン(GAGs)などがあります。
また脂質の糖鎖修飾には糖脂質(スフィンゴ糖脂質)、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーなどがあります。
哺乳類のシステムにおいては、これらの糖鎖は糖転移酵素またはそれとグリコシダーゼのはたらきを通して順序よく構築されます。
グリコシダーゼは糖鎖の構造から特定のグリコシド結合を取り除いた酵素です。
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