a)糖鎖とは?
 糖鎖とは糖が鎖状に連なったものです。 この糖鎖はタンパク質や細胞の膜を構成している脂質の表面に結合し、その働きを左右しています。 最近ではグライコーム研究が進められています。グライコームとはグライコとオームが合体してできた言葉であり、 グライコは「糖鎖」、オームは「全体」を表すラテン語です。木下研究室では糖鎖の全体像の解明に努めています。

b)糖鎖の役割・重要性[1]
 糖鎖の働きは赤血球だけではなく、体中の細胞に表れており、ガンや免疫、ホルモンの働き等にも関与しています。
 糖鎖はアクセスカードリーダーのようなものであり、細胞の表面に直接的または、ウイルス、バクテリア、病原体(抗原)、 また別のタンパク質などの他の生体分子のような細胞表面タンパク質に装飾します。 これらの生体分子は標的細胞に結合するために適切な構造を認識します。 糖鎖の研究が困難とされる理由に、糖鎖がフレキシブルであり、環境に依存して構造が変化するということがあります。 つまり、先ほど述べたアクセスカードリーダーが温度や湿度、時間によって変化する可能性があるのです。 タンパク質は正しいコンディションでのみアクセスが許されます。 生物学的Termsにおいて、タンパク質の機能は環境条件によって支配されている糖鎖の立体構造に影響されます。 従って、糖鎖とそれらのタンパク質の機能の重要性が高まってきているのです!!! 一般的に糖鎖の生物学的役割は大きく2つに分けられます。

(1)構造と修飾的性質

(2)他の分子による糖鎖の特異的認識(glycan-binding proteins(GBPs)を含む)


 GBPsには2つのタイプがあります。

@ intrinsic:同じ生物(生命体)の中で糖鎖を認識する。
 ・細胞間相互作用を媒介する機能をもつ
 ・細胞外分子を認識する機能をもつ
 ※同じ細胞上の糖鎖を認識する可能性もある。

  A extrinsic:異なる生物(生命体)などから糖鎖を認識する。
 ・病原微生物
 ・毒(毒素)
 ・共生の関係を媒介している分子   など...

 糖鎖認識の反対の役割は、対立的な選択力として作用するように示唆されます。その結果、生物的システムにおいて、進化的に影響を及ぼすのです!!!










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