a)RINGSとは?
RINGS (Resource for Informatics of Glycomes at Soka)は糖鎖(構造)解析のためのリソースです。
RINGSでは、糖鎖を認識するタンパク質などが糖鎖のどの部分を認識しているかを予測するためのツールや、糖鎖間の共通部分木を探すツールなど、
糖鎖解析に用いられる様々なツールが提供されています。RINGSのトップページは下のようになっています。
FIGURE5.1 RINGSのトップ画面
糖鎖解析に用いられる様々なツールや糖鎖構造を表す形式を変換するユーティリティを公開している。
RINGSには糖鎖構造のデータベースも含まれ、GlycomeDBと呼ぶ網羅的な糖鎖構造データベースと、RINGS独自の糖鎖構造も含まれます。
RINGSの構造は1996年以降に文献から手動で抽出した糖鎖構造です。
また、糖鎖関連の脂質やレクチンの情報も以下のデータベースから参照し、RINGSの構造とリンクされています。
●脂質
-LipidMaps - http://www.lipidmaps.org/
-LipidBank - http://lipidbank.jp/
●レクチン
-CNRS のLectines - http://www.cermav.cnrs.fr/lectines/
-Animal Lectins DB - http://www.imperial.ac.uk/research/animallectins/
RINGS で糖鎖構造を表示する際、米国のConsortium for Functional Glycomics (CFG)
[18] の提案されている単糖の標準シンボルを用いて
糖鎖構造を表します。FIGURE5.2にCFG の標識を示したのでこれを参考にして下さい。
FIGURE5.2 RINGS で使用する各単糖のシンボル。
CFG[18] によって推薦されているシンボルである。
b)ツールとユーティリティ
RINGSは二種類のプログラムを用意しています。
FIGURE5-1を見ると、左側に示されているものが「ツール」で右側に示されているものが「ユーティリティ」です。
ツールは主にデータマイニングの手法や数的モデルを用いたツールや、糖鎖構造を描画し、検索できるツールです。
ユーティリティは、様々な糖鎖構造の表記法を変換できるツールのことで、まだ未完成ですが、
RINGS 以外で使われている表記法をRINGS のツールで解析できるよう、KCF 形式への変換ツールはほとんどカバーされています。
KCF 形式の例はFIGURE5-3 に示します。
また、マニュアル以外に、ダウンロードできるソフトとして、
糖鎖構造を比較するツール(KCaM) 及び糖転移酵素の発現データから糖鎖構造を予測するプログラム(GlycoXSP) が提供されています。
KCaM[2] もGlycoXSP
[17] も過去に発表されている手法を用いて開発されています。
FIGURE5.3 糖鎖の画像とKCF
糖鎖の単糖情報をNODE で、糖結合情報をEDGE で表示している。
NODEの項目は、NODE番号、単糖名、単糖のx 座標、y 座標を含み、
EDGEの項目は、EDGE番号、結合しているNODE 番号、配座情報を含んでいる。
EDGE での、結合しているNODE番号と配座情報は「:」で区切って表示されている。
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